「お盆」と聞いたらどんなことをイメージするでしょうか?
私は、1番目に帰省ラッシュ、2番目に親戚集合です。
その昔、東北の田舎に住んでいた幼い私は、お盆のニュースで流れる帰省ラッシュの映像をいつも憧れの眼差しで眺めていました。
すごくかっこいい!
都会で頑張って勉強して、または働いて、どこか誇らしげに田舎へ堂々参上。
そんな風に勝手に想像していたわけですが、お盆は帰省して都会での活躍を披露するためにあるわけではないこと、お盆には意味があるのだということに気づいたのは、大人になってから。恥ずかしい限りです。
私のことはさておき、お盆の帰省といえば、義理の両親の家に帰るという人が少なくないでしょう。特に、初めて義理の家族のもとへ帰省するとなれば、それはもう、緊張やら心配やら複雑な思いを抱える人が多いはず。
でも、大丈夫。お盆には、地域や各家庭にマナーがあります。そのマナーさえ守れば、とても思い出深いお盆になること間違いなし!
お盆の主役は、ご先祖様の魂です。
その魂へ、そして訪問先への感謝の気持ちを表す方法をこれからご紹介します。
そもそもお盆とは?
お盆とはご先祖様を供養する期間のことで、7/13~7/16が一般的ですが、地域によっては月遅れの8/13~8/16という所もあります。
ご先祖様の魂を故郷に迎えて供養する行事で、お墓参りをして魂を歓迎し触れ合います。これは実は法事の一環でもあります。ですから、お供え物が必要なのです。
お盆のお供え物は、ご先祖様への感謝の気持ちを込めて贈るもの
お盆の時期にはたくさんの親戚や近隣に住む人が集まり、盛大に宴を開催するのが私の田舎の習わしでした。仏壇の周りは、いつもよりも華やかで豪華に輝いていました。
お供え物が高々と積まれていて、色とりどりの包装紙に包まれたお菓子やつやつやした果物などがたくさん。
子供たちはこれらが後に「お下がり」として、自分たちに分けてもらえることを知っていて、ひそかな、いや、「早く、早く!」とおねだりするほどの楽しみでした。
あれから30年。
親戚たちの高齢化や時代の変化に伴い、いつしかその宴はなくなり、各家庭でお墓参りをして主要な親戚の家にお供え物をしたらおしまいという簡素なものになっています。
でも、盛大であれ簡素であれ、大切なのはご先祖様をお迎えする気持ちです。帰ってきたご先祖様の魂をあふれる感謝の気持ちで包み込んじゃいましょう!
何をお供えしたらいいの?
ご先祖様のことを思って、ご先祖様が生前好きだったものを選んでお供えしても大丈夫です。ただ、時期が夏ですから、生ものは避けて腐らないものを選ぶと良いでしょう。
では定番のお供え物をご紹介します。
①果物
「お下がり」としてお客さんに振舞うことができますし、果物は丸いものが多いので、丸は「円」「縁」として縁起が良いとされています。スイカやぶどう、桃がおいしい季節なのでよく選ばれます。新鮮なものを選びましょう。
もし、フルーツを盛り合わせたフルーツバスケットを選ぶときには要注意。果物の数を、割り切れない数の奇数にしましょう。
②クッキー・おせんべい
何より日持ちするので、もらった側が早く消費しなければ・・・と焦らなくてすむという心遣いが感じられます。小分け包装のものを選ぶと、お下がりやお土産にもしやすくなります。
包装紙にはぜひともご注意を。きらびやかで派手なものより、落ち着いた色のものが良いですね。
③花
とげ、毒性、においがないものを選びましょう。菊をお供えすることが多いですが、リンドウ・アイリス・キンセンカも素敵。
本数は、3・5・7本程度が目安です。
気を付けよう!お盆のお供えマナーとは?
これは是非!と思う定番以外のものをお供えしても良いですし、ご先祖様が好きだったものを義理のご家族にリサーチしてからお供えするのも手ですね。感謝と温かさが感じられて好印象です。
マナーをわきまえてさえいれば、そこまで相手のご家族に迷惑がられることはないでしょう。
では、守りたいマナーについてのご紹介。
金額は、3,000円から5,000円くらいが理想。安すぎず高すぎずというところです。あまり値段が高いものだと、お相手が困ってしまいますね。
たくさんの人が集まり、食べ物のお供え物は余るなどしてお相手が困ることが予想されるときには、現金をお供えしても大丈夫。
その時は「御仏前」「御佛前」「御供物料」の袋にお金を包みましょう。金額は品物を購入するときの金額と同じで良いです。
お供え物を粗末な包装紙やそのままむき出しで持っていくのは、マナー違反であり、とても失礼です。
また、お供え物には掛け紙か、のしをつけましょう。掛け紙の水引きは、「結び切り」を、表書きにはどの宗派にも対応できる「御供」と記しましょう。薄墨でなく普通の濃い黒色で書いて構いません。
最後に
毎年訪れるお盆。お供え物は金額的に無理のない範囲のものを選択し、毎年続けていくということが供養になります。
束の間ではあるけれど、私たちにのもとに帰ってきてくれたご先祖様が、その昔そばにいて力を貸してくれたことに思いをはせてみてはいかがでしょうか。
または、配偶者の家族のお盆に参加するとすれば、最愛の配偶者、そして家族を守り育んでくれたご先祖様に、是非とも近況と共に感謝の気持ちを伝えてみてはいかがでしょうか。
その際、マナーに気を配り心を込めて選んだお供え物が、きっとお相手家族との距離を縮めてくれてくれるでしょう。和やかで心穏やかなお盆になりますように。